知財系技術士

27年前の今日、1月17日5時46分、私は大阪の自宅で強い揺れを感じました。
妻の実家が神戸なのですが、連絡もとれず、情報もはいらず、火災が広がる空撮映像から状況を推測するしかできませんでした。
幸い、親族は皆無事でしたが、社内の知人が何人か犠牲になられました。
一週間後に神戸入りした時に目にした崩れた街並みは今でも忘れられません。
トンガでの大規模噴火、日本に津波による人的被害が無かったのは幸いですが、トンガの様子が気になります。

さて、サイトタイトルに私のキャッチフレーズとして「知財系技術士」とありますが、これは私の造語です。

技術士とは「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者」と定義された国家資格で、21の技術部門毎の認定試験に合格、登録して名乗ることができるものです。
私は化学部門で資格取得しましたが、ここに知財に関する直接的な知識や経験は必要とされていません。
一般にコンサルティングを業とされている、あるいは企業内で活躍されている技術士の方は、自身の専門技術に関する深い知識や経験を活かした活動がメインだと思います。
一方、私の場合、会社員生活の前半は技術の最前線にいる研究者でしたが、後半17年は知財部におり、間接的に技術には触れていたものの、広く・浅くの付き合い方でした。
このように最新技術のキャッチアップに不安がある私が、技術士を名乗ってコンサルティングしていいものでしょうか?

ただ、私には知財マンとして得た知見と経験という強みがあります。
技術や研究開発に知財は無くてはならないものですが、その関わりは開発成果の権利化、といった一方通行であることが多いのが現状だと思います。
そこから一歩進んで、知財的視点を技術・研究開発のあり方・進め方に活かすべき、というのが私の考えです。

開発成果が最終的に特許出願されるのであれば、計画段階からそれを想定した進め方(例えばデータ取り)をすべきであり、それに相応しい体制(例えば知財部門との連携)を整えておくべきです。
また、競合や後発者の追随から開発商品や技術を守るのであれば、それを想定した周辺特許群の形成を並行して行ったほうが効率的です。
また、特許出願時、知財部員が発明者との打ち合わせの場で必ず行う発明の本質追及(上位概念化、横展開可能性)は技術の深掘りに必ず役に立つ手法なので、これを研究開発のプロセスに取り入れない手はありません。

このようなアプローチは技術部門・研究開発部門の組織強化と運営の効率化に必ず役立てると確信しており、これは技術コンサルティングと言えるはず、と考えています。
この考えを「知財系技術士」という言葉に込めました。