画像は前回とほぼ同じアングルで。 少しの間に緑に、桜のこの切り替えの早さが好きです。 以前、このブログで知的財産部を舞台にしたテレビドラマがあれば、という話をしました。 まさにその希望をかなえてくれそうなドラマ『それってパクリじゃないですか』が4月12日に始まります。 ものすごく楽しみです。 エンタメが過ぎて、現実離れした内容になっていないか少し心配ですが。 さて、前回、新規性喪失の例外規定についてお話ししましたが、私の経験した例(失敗例)について紹介します。 まず、私が研究者だった時のこと、高分子学会のポリマー材料フォーラムで発表することになり、その内容を特許出願する際に新規性喪失の例外規定を使いました。 その当時は主催者の証明が必要だったので、発表資料を添付した「証明願」を提出し、高分子学会会長の捺印を貰ったことを覚えています。 ただ、それほど深く考えず、知財部からの勧めに従い、そんないい制度があるなら使おう、というような感じだったと思います。 ところが、この出願は私がその会社を退職した後に拒絶理由が通知され、何と特許出願の発明者氏名と学会の発表者氏名の不一致により新規性喪失の例外規定の適用が認められず、そして案の定、その学会発表の私自身の予稿によって新規性を否定されるというとんでもないことになっていました。 超凡ミスで、研究者(私)の責任とは言えないかもしれませんが、特許は発明者にとって作品であり、我が子みたいなものですから、きっちりと仕組みやルールを理解していなければいけませんね。 次は知財部員時代、研究者から学会発表の内容を特許出願したいとの依頼を受け、発表前に出願すべく、超特急で明細書作成作業を進めていました。 この時、よくよく気を付けておかないといけないのは予稿集の発行日です。 学会によっては、開催日前に予稿集が発行されることがあり、開催日配布でも奥付を見ると発行日はそれよりも前の日だったということがあります。 この時も予稿集の正確な発行日を研究者に問い合わせてもらい、学会当日であることを確認、その2-3日前には出願完了する予定でした。 ところが、その出願の直前、研究者から予稿集がメールで届いたとの連絡がありました。 主催者側が気を利かして発表者には事前に予稿集を配信したとのことです。 となると公知になってしまったので、新規性喪失の例外規定を使わざるをえません。 あ~あ、という感じですね。 誰にミスがあったわけではありませんが、知財部、研究者とも、ギリギリの勝負にならないように、もっと早く出願しておけば、ということでしょうか。 知的財産制度には色々と発明者・出願人フレンドリーな仕組みがありますが、それを有効活用するには定められたルールを理解し、確実にそれに従わないといけません。 また、知財部員、研究者ともに相手任せにせず、自分事として取り組むことが大事ですね。
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