新規性喪失の例外規定

4月になり、大阪でも桜が満開です。

アイキャッチ画像は青空をバックに桜。

紅が少し濃いので、ソメイヨシノではなさそうですが。

さて、特許出願の際に使える技として「新規性喪失の例外規定」というものがあります。

何となく語呂が良く、「喪失」「例外」といったキラーワードが入っているので、使ってみたくなる言葉です。(私だけか?)

これは特許出願する前にその発明を開示(学会や展示会での発表等)しても、それによって新規性がなくならないようにできるというものです。

かつては手続きが少し面倒だったのですが、今では出願人自らの証明で認められ、かなり使いやすくなっています。

なので、学会発表の準備をしないといけないし、特許出願もしないといけないし、と困った研究者にとってはありがたい制度です。

知財部にいる時に、研究者が「これ使えませんか」と言ってくることが何度かありました。

ただ、いくつか問題はあります。

一つ目は、特許出願日が遡及するわけではなく、発明を開示してから特許出願までの間に出願された他者による特許出願には負けてしまうことです。

例えば、学会発表を聴いて、そこからアイデアを得た人によって改良発明を直ぐに特許出願されてしまった場合、その後に行った学会発表に基づく出願は特許にならない可能性が大きくなります。

二つ目は、国によって制度が異なるため、外国出願に制限を受けることです。

例えば、欧州や中国では認められる開示行為が国際博覧会等に限定されているので、日本で新規性喪失の例外規定を使って出願した特許は、ほぼ、これらの国には出願できなくなります。

なので、企業の知財部時代、私はこの制度は使わないことを基本にしていました。

けれど、最近、色々な企業とお付き合いする中で、開発品は一日も早くビジネスにつなげたい、そのためにもできるだけ早く展示会などに出して反応を確認したい、少しの遅れがその事業の死活問題につながりかねない、というような状況に出会うことも多々あります。

このような場合には緊急手段として新規性喪失の例外規定を使うことも有りです。

その開発品の市場、あるいはその企業のテリトリーが主に国内という場合にはなおさらです。

色々な状況や事情を考慮し、それに応じた最適解を考える必要があることを再認識する毎日です。